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仕事帰り、疲れた体で改札を出る。 まだ週の半分か、とグッタリした気分に襲われていると、前方に見慣れた後姿を発見し、気持ちがフワリと軽くなる。 俺の婚約者、鈴音さん。 今日も可愛い。今日も愛しい。 ニヤケた顔で小走りに近づこうとしたところで、スーツ姿の青年が、鈴音さんに声をかけた。 鈴音さんが驚いた後、微笑む。 二人が嬉しそうに会話を始める。 邪魔しては悪いと思い、しばらく立ち尽くして待つ。 眺めているうちに、青年を定食屋で見かけたことがあることに気づく。 鈴音さんの叔母夫婦が経営する定食屋。 俺も常連だが、たぶん彼は俺より歴が長い。 店ではいつもジャージ姿だったから、高校生くらいに見えていたけど、社会人だったのか。 そういえば、最近、見かけていなかった。 青年が胸ポケットから名刺入れとペンを取り出し、何やら書き込んで鈴音さんに渡す。 鈴音さんが笑顔で頷くと、青年の顔が少し赤らむ。 ん? 俺の眉がピクリと動く。
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