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ベーグルサンドを齧るスピードが上がる。 鈴音さんはみんなに優しい。 でも、俺には特に優しい。と思いたい。 俺は特別なんだ。と思いたい。 俺はあの子の連絡先を受け取らなかった。 鈴音さんも、名刺を受け取らないでくれたらよかったのに。 そんな思いが浮かんで、俺は残りのベーグルサンドを口に放り込む。 さきほどの子と、朝賀くんでは、そもそも関係性が違う。 名刺を受け取らない方が不自然だ。 頭では分かっているのに、どうしてもモヤモヤとした気持ちが沸き上がる。 そのモヤモヤを、コーヒーで流し込むようにしてベーグルサンドと一緒に飲み込むと、席を立った。
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