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3.
マンション前まで来ると、鈴音さんの部屋の明かりがついているのが見える。
ホッとする反面、朝賀くんは待ちぼうけだな、と少し胸が痛む。
鈴音さんに電話をかける。
「もしもし?」
「鈴音さん。ただいま。」
「おかえり。どうしたの?」
「うん。声聞きたくて。」
「隣にいるんだから来ればいいのに。」
「うん。行く。」
エントランスをくぐり、エレベーターに乗る。
やっぱり譲れないよ、朝賀くん。
俺は汚い大人になったような気持ちになりながら、鈴音さんの部屋のチャイムを鳴らす。
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