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「さっきの子、おかみさんの所で見かけたことがある。」
「朝賀くん。常連さんだったの。」
「高校生かと思ってた。」
鈴音さんがコロコロと楽しそうに笑う。
「大学生だったんだよ。」
「高校球児に見えてた。」
「坊主ではなかったよ。」
クスクス笑う顔を眺めながら、安心感が胸に広がっていく。
「数ヵ月見かけないうちに社会人になってた。今は会社の近くに住んでるんだって。今日は仕事でこっち来たみたい。」
「まだ仕事中?大変だな。」
「新人営業マンはこき使われるんだって。」
鈴音さんが笑う。
「名刺もらったの?」
「うん。」
鈴音さんが名刺を取り出し、見せてくれる。
・・・んーーー。
予想はしていたが、やはり手書きで連絡先がメモされている。
せっかく落ち着いた心がまたざわつき、ピクリと眉を動かす。
落ち着け。カッコ悪いぞ、俺。
俺は平静を装って微笑む。
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