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「俺と一緒に月に行こう」
金髪碧眼、白皙の美青年にそう言われたのは、地球も滅亡するわずか5日前のことだった。
「150円のお返しになりま……え?」
流れ作業のように常連の美青年へお釣りを渡そうとして思わず聞き返す。聞き間違えじゃなければ今とんでもないことをサラリと言われた気がした。
顔をあげ目の前の白皙の青年を見上げれば、澄んだ湖の湖面をそのままビー玉にしたような透明で深い青がじっとこちらを見つめている。
「あ、と……今、なんと?」
「俺と一緒に月に行こう」
まろやかな声にしばしぽぅっとしながら、はたと気を戻す。
「あ、はぁ」
何もそう、一言一句正確に繰り返さなくとも。ええ、聞こえてましたよ。
どうやら聞き間違えではないようだった。
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