いやいや、有り得ないだろう

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そんなある日。 俺の家に、お節介で有名な叔母が訪ねて来た。 「28歳にもなるのに、彼女もいないの?」 「すみません。」 取り敢えず謝る俺に、叔母は一枚の見合い写真を見せた。 どうせブス面の、行き遅れの女だろ。 そんなの見る価値もない。 「お名前は、工藤葵さん。市内の高校に通う18歳のお嬢さんよ。」 俺は、秒でそのお見合い写真を、手に取った。 そして、驚く。 あのクールな工藤葵が、着物を着て、微笑んでいる。 何故だ?なぜ、見合い写真を撮っている? 「興味あるみたいね。明日、連れて来るから、お会いしなさい。」 「分かりました。」 いや、これは何故彼女が、高校生の身空で、お見合い写真を撮っているのか、気になるからだ。 決して、彼女に好意を寄せているのではない。 「歳は離れているけれど、今じゃそんなの当たり前だから。」 叔母の言葉が、右耳から左耳に流れて行く。 俺は、じーっと彼女の笑顔を見つめた。
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