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「僕と結婚してくれない?」
「は……?」
こいつはいきなり何を言い出すんだ。
空耳でなければ結婚と聞こえた気がするが……俺とこいつは腐れ縁の幼馴染みで、それ以上でも以下でもない。
「早く身を固めろって、最近周りが煩くて。きみも、そんなこと言ってたよね?」
「はぁ……確かにそれは、俺も最近よく言われてるけど……」
「ほら!それなら僕たちが結婚すれば解決だよ!……あっ、心配しなくても、形だけの結婚だから、女の子と遊んできてもいいからね!」
は?
はああああ???
本ッ当に何言ってんだこいつ。
お前は仕事もできるし顔がいいし、お前と結婚したいと思ってる女の子だって大勢いるし、結婚したところで遊ぶには困らないだろうよ?
そんなお前と平々凡々な俺が結婚しようもんなら、女の子と遊ぶどころかお前狙いだった子たちに刺されるわ!俺が!
刺されなかったとしても、お前の遊び相手の女の子が妊娠でもした日には、いよいよ俺はポイされるんだ。
そんな偽装結婚、考えれば考えるほど俺にメリットなくないか?
……って、思いっ切りお前との偽装結婚について具体的に考えちまったけど、やっぱりダメだろ!
「…………やだよ」
どうにかその一言を絞り出した。
こんなのダメだ。
「やだ…………ねえ、結婚しようよ?」
泣きそうな声で、上目遣いでそうやって言われれば……いつもの俺なら甘やかしてしまうだろう。
ただ、こんな結婚は絶対ダメだ、断固拒否だ。
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