偽装結婚は断固拒否!

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「お前さあ…………偽装結婚なんかしてどうすんの? ほかに言うこと、あるだろ?」 「………………」  そんな目で見てもダメだ。  お前がちゃんと言うまで、今日の俺は甘やかさないからな。     お前と結婚したがっている女の子が大勢いるのは知ってる。  それをお前が全部断ってるのも知ってる。    ふとした瞬間、不意に熱を帯びた視線を感じることも……気のせいだと自分に言い聞かせることは既に諦めた。 「なあ…………今なら聞いてやるからさ」  やっぱり甘やかし過ぎたか、と思いつつも、真っ直ぐ目を見て言ってやる。 「………………好きだから」 「うん」 「きみが好きだから。結婚さえすれば僕のものになると思ったけど……女の子とは、遊ばないで」 「うん」  よく言えました、なんて、心の中で呟いて、俺より少し高い位置にある頭を軽く撫でてやる。  どうしてこんなやつが可愛く見えるのかは俺にもわからないが、きっと俺の口元は緩んでる。  俺には恋心なんてものはよくわからないけど、こいつのことが大切なのは間違いないから。  こいつの気持ちに気付いて以来、散々悩んで考えてはみたものの、愛ならあるし、受け入れる覚悟はもうしてる。 「いいよ。俺が浮気しないように、精々がんばって俺のこと落としてよ」 「…………!! うん! 大好き……!!」  言うが早いか、ものすごい馬鹿力でぎゅうぎゅうと抱きしめられた。  ちょっと息が苦しいけど、体温を感じて心まで温かくなって心地良い。  ああ、なんだ、俺はもう既に落とされかかってる。  絶対言ってやらないけど、もう少しこのままでいたい気がして……背中に腕を回してぎゅっとした。
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