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霞んだ視界の先に微かな光が見える。
私は瞬きを繰り返した。
少しずつ視界がはっきりしてくると同時に、
身体の感覚もはっきりとしていく。
どうやら私は寝かされている。
頼りない光を灯した裸電球を見て、絶望的な気持ちになる。
さっきのアレは夢じゃなかったのか——
頭の激痛に備えながら、備えたところでどうにかなる痛みではないが、ゆっくりと身体を起こした。
すると、意外にも上半身を起こすことができた。頭の痛みもない。思わず頭に触れると、サラシのようなものは巻かれてはいるが、傷口あたりを触っても何の痛みもなかった。
治ったのか?
どのくらい時間が経ったのだろうか。
私はゆっくりと立ち上がることにした。
私が寝かされていたのは布団で、ここは畳の部屋のようだ。
立ち上がり、少し歩いてみたが、身体に問題はなさそうだ。私は手探りで、部屋の戸を探した。
伸ばした手が戸に触れたので、私はそれを横に引いた。戸は滑らかにすっと動く。戸の向こう側は灯がなく、真っ暗で何も見えない。
何度か瞬きしてみると、うっすらとではあるが、目の前に廊下が浮かび上がってきた。目が暗さに慣れてきたようだ。ゆっくりと足を踏み出すと、木の床の冷たい感触が伝わってくる。廊下は左右に伸びているが、さてどちらへ向かえばいいのだろうか。考えても答えが出るわけではない。ひとまず私は左側へ向かって歩いてみることにした。
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