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キスマークと遅刻の理由
翌朝、母親は早番だからと先に家を出ていた。
僕は昨夜電話で言われた通りに全ての準備を終わらせてから、部屋で瑛太が迎えに来るのを待つ事に。
こんな朝から何の用なんだろ?何かあるのかな。
落ち着かない気持ちでソワソワしながら待っていると、階下で玄関の開く音がした。母親が既に出社してる事は瑛太に伝えてあるから、彼は勝手に部屋まで上がって来るだろう。
案の定、部屋の前で足音が止まると「ユズー、おはよー」と言いながら扉が開かれる。
「おはよう、瑛太。朝からどうしたの?」
「ん、それなんだけどさ……ちょっとこっち」
「?」
瑛太は床に鞄を下ろすと、僕に向かってちょいちょいと手招きをする。どうしたのかと首を傾げながら彼の側に寄ると、ふと手を掴まれては少々乱暴に壁へと押さえ付けられてしまった。
「いった……!な、なに?」
「うーん……とりあえずネクタイ解くな」
「は?」
澄まし顔で言い、瑛太は躊躇いなく片手で器用に僕のネクタイを解いてしまう。そしてワイシャツのボタンも上から外し始めるので、慌てて止めるのだ。
「ちょ、瑛太!?何してんの!?今から学校に行くんじゃ……」
「行くよ?だからさ、ちょっとジッとしてて。すぐ終わるから」
一体何だと言うのか。でも、言われた通りにしなければ本当に学校に遅刻してしまう可能性もあるので、ここは耐えて大人しくする事に。
瑛太は鎖骨の辺りまでボタンを外すと、頭を屈めては僕の胸元にキスをして来た。そしてそこを強めに吸われてしまい、思わず「んあっ」と艶めかしい声を漏らしてしまう。
「……良し。付いた」
「……へ?なにが……」
「キスマーク」
ニヤリとしながら顔を上げ、瑛太は僕の目を見る。その満足そうな眼差しについドキッとしては、僕も赤面してしまうのだ。
「き、キスマークって……」
「虫除け。昨日の電話、実はちょっとムカついてたから。……あと、先約は俺なんだから、他の誰かに奪われんじゃねーぞ?」
冗談なのか本気なのか分からないその口説き文句に、僕はどうしようもなくときめいてしまう。
……瑛太以外に触らせる訳ないじゃん。僕だって誰でも良いはずないし、瑛太だから触って欲しいと思ってるんだから。
僕は俯きながら、小さな声で「う、嬉しい……」と無意識に口にしていた。それは心の底から出た本音で、きっと瑛太も、素直な僕の言葉に驚いたに違いない。
彼は急に熱っぽい視線で僕を見つめて来ると、また顔を寄せて来るのだ。
「……ユズ、それズルい」
「ぅえ?」
「もっと可愛がりたくなるだろ」
そう言うと、再び肌に唇を押し付けてはキスマークを付けられる。しかもそれは胸元に留まらず、更にシャツのボタンを外しては、鳩尾や下腹部にまで及ぶ。
「っ……や、ぅあ……瑛太……っ、くすぐったいから……!」
「ん……、身体ビクビクしてんね。可愛い」
「ば、バカ……!は、ぁあ!」
瑛太の柔らかい唇が肌を食み、優しく愛撫される感触に僕は敏感に反応してしまう。するといつの間にかズボンのベルトをカチャカチャと外され、その状況に僕は軽くパニックになっていた。
「あっ、だめっ……、何してんの!?」
しゃがみ込んだ瑛太の頭を押さえ、僕は腰を引く。しかしスイッチの入った彼がそれだけで止まってくれるはずも無く、下着の上から僕の膨らみ始めたソコに軽くキスをするのだ。
「……何って、ねぇ?興奮してんじゃん。1回抜いとこ」
「や、誰のせいでこんな……!」
「俺だろ?だから、責任取って抜いてやるよ」
こうなった瑛太は、もう誰にも止められない。
抵抗も虚しく、瑛太の目の前で下着を下ろされては、緩く勃ち始めていた竿が姿を現す。そこにおもむろに手を添えると、彼は突然口を開け、躊躇いなくその熱を咥え込むのだ。
「え、えーた……っ、ぅあ、あ……っ」
「ん……、っ」
……うそ。瑛太が僕の咥えてる。て言うか、舌がぬるぬるしてて……これ、ヤバイじゃん。すぐイっちゃう。
初めて瑛太に口でシてもらっている。その光景を上から見下ろしてるだけでも破壊力のある絵面だし、初めてとは思えない程にその舌使いは気持ちが良かった。
どこでそんなテクニック覚えて来るんだよ。本当に、ムカつくくらい何でもスマートにこなしやがって。
僕はあまりの気持ち良さに身体をくの字に曲げ、彼の頭を抱え込むようにして髪に両手の指を絡める。一方の瑛太は頭を動かしながらじゅぽじゅぽとわざとらしく水音を立て、口腔内で何度も鈴口を攻め立てられてはすぐに限界が訪れるのだ。
「や、だめっ……!瑛太、イっちゃう!出ちゃうから、離して!」
「……ん、ふ……、だひていーよ」
「だ、め……汚い、から……!」
それでもやめてくれないから、僕は我慢しようと強く瑛太の髪を握ってしまった。が、彼は口を窄めると急に竿の先端に吸い付き、その吸引力に耐えられなくなってはとうとう達してしまう。
「ふ、んんっ〜〜〜!」
ガクガクと脚が震え、瑛太の口に出してしまう。彼はそれを受け入れてくれては、ゴクンと喉を鳴らし平然と白濁液を飲み込むのだ。
「……ん、……量多いな。溜まってたか?」
「ば、バカ瑛太……ぅう……っ、最悪……」
「あ、泣くなよ。別にイジメたんじゃねーし」
目尻に浮いた涙を見付けると、瑛太はすぐさま立ち上がり慰めるように僕を抱き寄せてくれる。それから服装をちゃんと元通りに正してくれると、ネクタイまでキチンと結んでから再び頭を撫でられた。
「ユズー。ごめんって。お前が可愛いからさ、我慢出来なかったんだって。泣く程嫌だったんなら、もうしねぇから。な?」
ポンポンと優しくあやす彼の手が愛しい。
僕は自ら瑛太の胸に抱き付き、胸に溜まった本音をボソボソと零すのだ。
「……べ、別に嫌じゃない……けど、恥ずかしかったから……」
「え、マジ?じゃあ、またシて良いの?」
彼の期待したような声色に僕はコクンと頷き、顔を見られないようその胸にギュッと顔を埋める。
変態瑛太。ちょっとは考えて行動しろよ。
「……良い、けど……あと、学校行く前にエロい事禁止。その……授業中、色々思い出しちゃうから……」
すぐに手の出る幼馴染みに注意をする。が、その言い方がまた彼を煽ってしまったらしい。
瑛太は「はぁぁぁ」なんて大きなため息を吐くと、自分の目元を片手で覆いながら天井を振り仰ぐのだ。
「……ほんと、マジで勘弁して……。どんだけ可愛いんだよ、お前……」
早く抱きてぇなんて言いながら、瑛太も再び甘えるように頬擦りをして来る。
それから僕達は、お互いの心臓が落ち着くまで暫く抱きしめ合っていたのだ。そのせいで朝のホームルームに間に合わなかったのは、母親には内緒だ。
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