尾久の栄依子ちゃんシリーズ 番外編 Eiko in The Wonderland

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7月7日 七夕🎋 朝、東京を出て 昼過ぎ診断を聴いた後 オンライン面会 やはり直に会わせてもらえない。 少し痩せた母は 画面越しに手をすり合わせ ビエーーッと泣いた。 どこにいても特別扱いしてもらいたい性格。 他の患者と同じ扱いが よっぽど我慢できないらしい。 (私には全く理解できない) 病気の前では 化粧もカツラも、 見栄もツッパリも通用しない。 みんな同じ ただの高齢の病人。なのに。 だけど やはり経済の差は 確かにある。 母はかかりつけ医に 盆暮れ、 惜しみなく「付け届け」をしていた。 かかりつけ医はこの病院の 元内科部長だったので 連絡が入ったらしく 担当医の態度が ある時からガラッと変わった。 そんなものかしら。 画面越しの母 必死の形相 「これ以上ここにいたら 気が狂う! 今日退院できなかったら 裸足で走ってでも 逃げてやる!」 ああ、感情的になると 手がつけられないエイコさん 私には、コレが苦手。。。 胃がキューと縮む。 だって入院しなかったら 死んでたかもよ? あんなに弱ってたのに。 付き添ってた看護士さんも絶句して そこに居る全員が沈黙。 「わかりました、主治医に訊いて来ますね」 優しい看護士さん、すかさずフォロー そして。。。 翌日、退院となった。 それきり母は 不思議の国の話をしなくなった。 せん妄、無いに、こしたとこないけど … まあ、今考えると ちょっと、面白かった。 おしまい⭐️
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