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俺とフミさんの不思議な同居生活も半年がたった。
最初のうちは、ほぼ親父の書斎に引き籠っていたフミさんも、少しずつ書斎の外に出る時間が増えてきた。どうやら、フミさんの本体が書斎の書棚にあるようで、そこからどれだけ離れることができるのか試しているようだった。本体がどの本なのかは教えてもらってない。俺も、あのうずたかく積み上がった古書の山から該当の本を探す気にもならない。
はい。
お察しの通り、親父の書斎は全っ然片付いてません。
そりゃぁ、フミさんとすれば古臭い文章や味気ない学術書よりも、新鮮な最近の文章の方を美味しいと感じるのは仕方のないこと。とりあえず、新聞を取ったり職場から誰かが読み終えた週刊誌をもらって来たり色々試しているが、最近のフミさんのお気に入りはネット上のまとめ記事やらTwitterなどのSNSの文章だ。
フミさんがタブレット端末の画面から文字を引き出して食す様はいつ見ても不思議な感じ。再読み込みすると画面が元通りになるのが楽しくて仕方ないそうだ。曰く「また食べられる!」のだとか。
一時期、ビックリするほどフミさんの喋り言葉がネットスラングになってしまい、こちらが閉口した。あんまり俺が嫌がるので、最近はひかえているらしい。
なんだろう……。ジャンクフードを初めて食べた子が感激してファストフード店に通い詰めるみたいな感じ、といえばいいのか。親父がいたときは、親父に合わせていたんだな……と、思わせる出来事でもあった。
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