1人が本棚に入れています
本棚に追加
その人は何も言わずにジッと俺の瞳を見つめる。そして屈み込んで俺と視線の高さを合わせる。
「!?」
何だか緊張する。その瞳は自分が映り込みとても不思議な感じだ。
「…多額の借金…。人間関係の不備。…。」
「え?」
その人はボソボソとつぶやく様に言う。すると何か用事が済んだのかスッと立ちあがった。
「…やはりあなたはまだ黄泉へ来るのは早いようです。どうぞ、この世界に残りなさい。」
「えっ?黄泉って!?」
俺の質問に答えることなく彼は去っていく。
「…あの!?あなたは?」
俺は後ろ姿になるべく大きな声で尋ねた。すると一度足を止めてゆっくりと、振り返った。
「私は…黄泉の防人でございます。」
「防人?」
「では…。」
彼はそのまま去っていってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!