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「もしもし。聞いて、欲しいな。
私と先輩、付き合うことになりました。
噂に聞いてた先輩っていうのは、意地を張ってただけなんだって。勉強もスポーツも、普段はもっとぼさぼさの髪も服も、全部無理して頑張ってたこと。
ほんとは方言訛りがすごくて、小学生みたいに笑う男の子。でもね、そんなんで外に出たらバカにされる。バカにされたくないっていう一心で、慣れない標準語で話してたんだって。
私、先輩のこと余所者のくせにって思ってた。地元が田舎だって知ってるから、外から来る余所者は都会のお坊ちゃん。そう思い込んでたんだ。
でも、違った。
先輩は、私とおんなじように外にいる余所者に怯えて強がってたんだ。
ほんとの先輩はさ。子どもっぽくて、正義感が強い男の子。
私、子どもっぽい人に弱いんだよね。変質者を退治して、私に大丈夫か? 怖かったよな。そう言って泣いてたのは先輩なの。もちろん、私もね。
一緒になって泣いちゃった。
そういう人、私好きだな」
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