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三大魔獣のダッコン
バッハンは、楽器作りの要領で、武器を作ることが出来ます。伊吹の武器の設計図は、だいたい出来ました。そこで急きょ仲間になったミザルとイワザルの武器も作ることにしました。
そして、この東の洞窟の最下層に武器に使用する鉱石が取れる場所があるとスライム魔導師から聞きました。バッハンが、ミザルとイワザルの設計図を作る間に伊吹とミザルとイワザルで、材料の鉱石を掘りに行くことにしました。
「気をつけて、行くのじゃ…最下層あたりには、魔獣がいるという噂があるからのう…」
「まじゅう?…まんじゅうの仲間かな…」
「伊吹様、違いますわ…魔法を使う獣ですわ…」
「えっ、けものか…怖い…」
「伊吹様、ミザルがついてますわ…」
「このイワザルもおります…」
魔法の光をたいまつにして、3人はイワザルを先頭にミザル、伊吹の隊列で、地下へ進んで行きました。
特に問題なく、最下層に降りるとあとは、鉱石を掘れる場所に行くだけになりました。ミザルが伊吹の方に振り返りました。
「伊吹様、もうすぐですわ…えっ、その魔獣はなんですか?」
「魔獣?…さっき、猫ちゃんが寄ってきたので…だっこしたら…急に身体が重くなり、凄く疲れて来たんだ…」
「伊吹様、それ『魔獣ダッコン』ですわ…だっこした人を呪い殺してしまう闇属性の魔獣ですわ…早く離してください…」
「えっ、離せない…何か眠くなって来た…」
「イワザル、魔獣だけを切り離せますか…」
「いや…すでに呪いで、伊吹様とつながって身体全体にまわってます…」
「えっ、サーチ!…生命力が失われて、あと少しの命ね…ぴえん…伊吹様…」
伊吹は、魔獣を抱いたまま、うつ伏せに倒れました。魔獣ダッコンは恐ろしい顔で、ペロペロと伊吹をなめています。
「伊吹様が、びえーん、びえーん…」
「伊吹様、しっかりしてください…」
大音量で、ミザルは泣き叫びました。その振動で、洞窟の天井が崩れて、小さな岩が、伊吹のお尻に命中しました。伊吹は、尻を叩かれるとやる気が出るタイプでした。
「痛っ…でも、やる気出てきた…ホワイトチユ!」
急に伊吹は、まばゆい光に包まれるて起き上がると魔獣ダッコンもその光に包まれ、恐ろしい声で泣き叫びました。伊吹は、ダッコンをがっちりと抱きしめて、離しません。
「ぎゃぁぁ、ぎゃぁー、ぎゃー」
「猫ちゃん、大人しくしなさい…よし、よし」
伊吹は、魔獣ダッコンの頭を優しく撫でるとだんだんと大人しくなり、ダッコンは、優しい顔つきになり、伊吹に甘えるようになりました。
「ああ、伊吹様が助かった…サーチ!…魔獣ダッコンの闇の呪いから解放されてますわ…」
「伊吹様、良かったです…」
「ダッコンの属性も変わってるわ…光の属性になってる…そして、伊吹様と主従関係も結ばれてるわ」
「伊吹様、良くご無事で…」
伊吹の腕から、ダッコンは降りると洞窟の先頭を歩き始めました。どうやら、ついてこいと言ってるようです。しばらく、歩くと急に広い場所に出ました。
「にゃー、にゃ、にゃ、にゃ」
「ふむ、ふむ、この壁に向かって、攻撃して、イワザル、そこの壁に剣で攻撃してみて…」
「伊吹様、魔獣の言葉わかるんですか?…とりあえず、おりゃー」
壁に向かって、イワザルの攻撃が当たるとがらがらと崩れて、銀色金属の塊が出てきました。
「鉱石が取れた…あっこれは、超合金だ…新しい剣の材料に使ってもらおう…」
「にゃ、にゃー、にゃ…」
「ふむ、ふむ、次、ミザルも攻撃して…」
「はい、わかりましたわ…精霊よ私に力を…はい…」
また、がらがらと壁が崩れて、今度は、白っぽい金色の塊が出てきました。
「これは、白金の塊だ…私もこれで、新しい武器を作ってもらおう…」
「にゃん、にゃー、にゃん」
「どうやら、その人に合った鉱石が取れるそうだ…私もやってみよう…伊吹格闘術 壁破壊の構え…おりゃー」
がらがらと凄い音と共に壁が、崩れると7色のまばゆい光をまとった輝く鉱石が出てきました。
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