time pass me by

8/8
前へ
/8ページ
次へ
加藤を好きになることはもちろん自由だ。でも加藤を求めることに罪悪感があった。今まではアイドルのように共通に好きになっているような感覚だった。でも丸君に言われて本当は加藤を強く求め、独り占めしたい自分がいることを気付かされた。やんわりと朧げに思っていた気持ちがひどく現実味を帯びた。もし今日のことを藍子に言ったら藍子はどう思っただろう?私と同じような気持ちが自分の中に眠っていたことに気付くだろうか?「とられたくない」と思ってしまうだろうか?私を敵視するだろうか?加藤が私を嫌いになればいいと思うだろうか? 加藤は・・・? 加藤は私の今日の態度で何を感じただろう。 私を嫌いになっただろうか? 私を疎ましく思うだろうか? そんなことを考えると何もかもを疑いだして、どこかに閉じこもってしまいたい気持ちでいっぱいになった。 藍子は私の様子に気付いて心配してくれたのに私は藍子を気遣う余裕がなかった。 部活の帰り道、いつも一緒に帰る人たちの中で私は藍子から離れて何も話さずにただ後ろからついて歩くだけだった。そんな自分にさえ嫌悪していた。何もかもが嫌で何もかもがつらかった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加