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 現在、この地球上には沢山の人間が存在している。それについては、今更説明するまでもない。  しかし、こと僕達が生活している世界。  闇の世界については説明しなければならない。  地球上……そして世界中、沢山の人が存在している事は上記の通りであるが、僕が説明しなくてはいけないのは……否、説明せざるを得ないのは、その沢山の人間の中でも、タイプが二つに分類されるという事だ。  二つのタイプ――  一つ、超能力という超常現象的な力を使えない人間と。  二つ、超能力という超常現象的な力を使える人間。  この二つに分類される。  先ず一つ目についてはやはり語るまでもないだろう。何故ならこれは普通の人間――即ち、これを読んでくれている皆さんと同じ一般人に属する者達なのだから。  僕が語るべきは二つ目である。  超能力という超常現象的な力を使える人間。  この言葉を聞いて『はぁ?』と首を傾げた人も多い事だろう。  超能力? そんなもの存在する訳ないだろう。そう、思ってしまうのも無理もない。  超能力者は、一般人の前で力を行使する事を許されていないのだ。  力の行使どころか、自分が超能力者である事実を公言する事すら許されていないのだ。  だからこそ、一般人は超能力者という存在を知らない。認識していない。  世界が超能力者の存在をあらゆる力を使い、隠蔽しているのだから、一般人には知りたくても知れないのが、超能力者という存在なのである。  さて、何故世界はそれ程までに超能力者の存在を隠すのか?  答えは簡単だ。  超能力と一般人、双方の平和を守る為。  力を持つ者達と力を持たない者達が共存し、平和な生活を送れるようにする為。  力を持つ者――超能力者による一般人の蹂躙を防ぐ為だ。  そんな訳で当然、上記のルールを破った超能力者は例外なく粛清される。  誰一人――例外なく。  それが一国の王であろうと。  人類の宝と呼べる頭脳を持っていようと。  どの分野の天才であろうと。  スポーツ界のスターであろうと。  容赦なく、粛清は実行される。  世界平和の為に。  ……さて、ここでようやく、僕の話に移る事が出来る。  僕の所属する組織の話をする事が出来る。  僕は超能力者だ。  僕はその上で、とある組織に所属している。  そして、何を隠そう僕が所属しているその組織こそ、上記のルールを破った超能力者を粛清する役目を請け負っている組織なのだ。  世界の平和を守る為――超能力者を超能力で粛清する、組織なのである。  即ち――抑止力。  世界最強の超能力組織という肩書きを背負い、僕らは役目を果たしている。  その組織の名は――『ピースメーカー』  選ばれし強者でなければ所属する事が出来ない、世界最強の超能力組織。  少数精鋭――僅か十二名という団員数で、世界の秩序を守っている世界最強の超能力組織。  僕はその十二人の内の一人なのだ。  そう……要するに僕には、僕の身体には――  世界中の……いや、地球に住まう全人類の中で十二本の指で数えられる程度の力は、宿っているのである。  ……あ、人間に十二本も指ないか。
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