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前項にて紹介してなかった人物がいる。
ピースメーカー格付け十二位――『天下丿銃』
別名、ホープ。
新米中の新米。
ピースメーカーの中で新米と呼べる僕よりも新米なホープは、最近入隊したばかりのルーキーなのである。
今より約一ヶ月前――彼女は、ヒーローに助けられ、その内に秘めた強大な力を認められ、スカウトされた。
彼女自身、自らが秘めた強大な力を把握し切れていないのにも関わらず、ヒーローはそれを見事に見抜いたのだ。
僕の時もそうだったけど……あの人の……ヒーローの観察眼はずば抜けている。それも世界最強たる所以なのかもしれない……。
おっと、話が逸れた。
とにかく、僕が今何を言いたいのかというと。
僕には、明日の掃除当番の他にも特別に……やるべき事があるという事だ。
彼女……最強超能力ルーキーである、ホープの為に、やるべき事が。
僕が部屋に戻り、漫画を読みつつくつろいでいると……ガチャッと、扉が開かれた。
そこに、大きなウサギのぬいぐるみを抱き抱えた小さな女子中学生が立っていた。
服装はパジャマ姿である。
長くて綺麗な髪は、風呂上がりなのか少し湿っていた。
そんな女子中学生――ホープは言う。
「きょ、今日も……よろしくお願いします……」
ビクビクしながら頭を下げ、ホープは部屋の中へ足を踏み入れる。
それを確認した僕は掛け布団を捲り、「どうぞ」と声を掛けた。
「し、失礼します……」
女子中学生はビクビクしながら、豪華なホテルに相応しく、僕みたいな凡人には似つかわしくない豪勢なベッドに身体を預けた。
ベッドの上に横になった。
大きなウサギのぬいぐるみをギュッと抱き抱えている。
その小さな身体が小刻みに揺れている。
さて、そんなホープの様子を確認した所で、僕もベッドの上に上がり横になる。
何も如何わしい事をしようとしている訳ではない。
これは……彼女にとって必要な事なのだから。
ベッド上で横並びになっている僕とホープ。
僕のような凡庸な人間が使うに相応しくない程大きなベットなので、男子高校生と女子中学生が二人横になったのにも関わらず窮屈さを感じない。
僕は言う。
「いいよ。もっとくっついても」
「うん……」
か細くそう返事をしたホープは、モゾモゾと身体を動かし、ピタリと僕へ身体を引っ付けた。
その、小さな身体を。
そして彼女は震えた声を落とす。
「毎日毎日……ごめんなさい……」
僕はそっとホープの頭を撫でる。
「良いよ。気にするな」
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