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ホープが、ピースメーカーに加入したのが最近であるのと同時に、彼女が超能力者として覚醒したのも、ごくごく最近の事であるらしい。
即ち彼女は、自らが持つ強大な……強大過ぎる力をまだ、制御出来ていないのだ。
なので今、絶賛トレーニング中なのである。
格付け三位のボムさんに手取り足取り教えて貰っている最中なのである。その甲斐あって、ホープはある程度力の制御は出来るようになったものの、完全制御には至っていない。
そしてそんな完全制御には至っていないホープの力には、致命的な欠陥があった。
それは――
彼女の意識がない時、力が暴走してしまう。
という欠陥である。
そしてその強大過ぎる力が、自分自身に向けられるというのだから、怖くもなるだろう。
一言で述べるとこういう事だ……『天下丿銃』は――
眠ると自分自身の力に殺されてしまう。
自らが持つ力に――殺される。
だから彼女は、能力覚醒後からの二週間以上一睡もしていなかった。
眠ると死ぬから。死にたくないから、必死に起きていた。
当時の彼女の目の下には大きな隈があり、顔色も悪く、不健康そうで……本当に、僕はそんな彼女の姿を見ているのも辛かった程だった。
睡眠をしない彼女を見て、このままじゃ駄目だと考えたリーダーは、とある対策方法を発案した。
その対策こそが――
僕がホープと一緒に眠る事だ。
スースーっと、ホープは可愛い寝息を立て始めた。
寝顔が可愛い。
一人で寝ていたら、こんな可愛い寝顔のまま死んじゃうのか。
勿体ない。こんなに可愛いのに。
こんなに可愛い子が失われるのは、世界にとって大損失になる。
だから僕が守るよ……。
例え僕の命を犠牲にしたとしても。
…………さぁ、そろそろだな。
「来なよ。じゃじゃ馬能力さん――僕が、殺されてあげるから」
眠っているホープの小さな身体が淡く光り出す。
すると、何も無かった空間から銀色の拳銃が十丁現れた。
現れた十丁の拳銃は宙をフワフワと浮いている。
そしてそれらの銃口全てが――僕に向けられている。
僕は、流れ弾が万が一にもホープに当たらないようベッドから降り、ソファーの上に腰掛ける。そして両手を広げ、受け入れる仕草を見せた。
「さぁ――好きなだけどうぞ」
僕がその言葉を放った、次の瞬間――パァンッ! という数発の銃声と共に……僕の身体は蜂の巣と化した。
焼けるような痛みと共に……僕の目の前は真っ暗になった。
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