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そしてまた、夜が来る。
「……今日も、お願いします」
「うん。どうぞ」
昨日と変わらない、ビクビクした様子でホープは僕の部屋へと再び足を踏み入れた。
そしてまたしても僕のベッドの上で横になる。
この死の恐怖に震える小さな身体も、見慣れてしまった。
死に対する恐怖……僕が忘れてしまった感覚。
支えてあげよう。
それを知らない僕だからこそ、彼女を支える事が出来るはずだ。
「大丈夫だよ。僕が居るから、君は絶対に死なない。だから安心して」
「うん……あり、がとぅ……」
「今日も、いい夢見なよ」
「うん……ごめんね……」
「謝るなって。気にせず休んで」
「うん……おやすみなさい」
「おやすみ」
ホープは目を閉じ、寝息を立て始める。
そしてそれと時を同じくして、例の拳銃が十丁現れる。
例の如く、その銃口は全てこちらへ向いている訳だ。
まったく……このじゃじゃ馬拳銃共め……。
「なぁ? きみ達もいい加減落ち着いたらどうなのかな? いつまでもご主人に逆らってばかりいないでさ。僕もつい最近知った事なんだけど――
彼女を一日守っただけで、めちゃくちゃ達成感があるんだ」
だからさ――
「拳銃も一度、味わってみると良いよ、その達成感を」
ま、拳銃に何を言っても通じないか。だって相手は拳銃だもんね。
さて、そろそろ僕も眠たくなって来た。
眠らせてもらう事にしよう。
銃弾が当たって蜂の巣にされた時は痛いけど、少しの我慢だ。
目を開けた時にはまた、太陽が登っていて、彼女がまた、笑顔を見せてくれる。
だから僕は何も怖くない。
けど……強いて言うなら、そうだな……。
「痛いんだから……せめて良い夢ぐらいは、見させてくれよな」
十丁ある拳銃の引き金が引かれる。
それでは皆さん、おやすみなさい。
また、明日。
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