至高のカップル

　この村社会的全体主義且つ集団主義の世に於いて手に手を取って皆と足並みをそろえることを拒む者は異端者だ！そうして墓穴を掘り自殺行為をしている訳だから自ら命を捨てこの世から逃げ去ることに等しく畢竟するに罪悪だ卑怯だとこじつける、得てしてそういう者が大半を占めることになるが、虚妄偽善欺瞞不正不条理が蔓延り風紀紊乱にして澆季溷濁たる世とも言えなくもない寸善尺魔の世の中で錦の御旗を掲げ戦うことなくして此の世を肯定し、のほほんと将又、のうのうと将又、前向きに将又、安閑と将又、楽観的に将又、盲目的に将又、知らぬが仏で生きているのに違いなく、往々にして大義名分の下、MASSを敵に回して戦う稀少で殊勝な勇者を責め、苛み、愚弄し、嘲笑し、讒誣し、誹謗中傷した挙句、人権蹂躙して最悪、花と散らせてしまう人殺しなのである。その代表的な世界に名高い犠牲者と言えば四大聖人の一人に数えられるソクラテスでありキリストである。偉大なる一人の善人を偽善者の頭を筆頭に偽善者たちのMASSが皆して殺すのである。崇拝すべき数々の文豪を死に追いやったのも全てMASSと思って間違いない。日本人で言えば自殺した芥川にしろ自決した三島にしろ情死した太宰、有島にしろ病死した安吾、織田作にしろ獄死した三木にしろ拷問死した小林にしろ後忘れてはならない漱石にしろ元を正せばMASSイコール俗物どもが元凶となって死期を早めたのである。俗物どもの所為で凡人には計り知れないどれ程の懊悩があったことだろう、どれ程の辛酸を嘗めたことだろう、どれ程の幻滅があったことだろう、どれ程の絶望があったことだろう、どれ程の虚無感、疎外感、孤独感、恥辱感を味わったことだろう。逆にどれ程、孤高、脱俗を誇り愉快になったか知れないが、自身もまた俗物どもの所為で狂い死にしたニーチェの言うおしまいの人間たちが大した悩みもなく無駄に惰性にマンネリに慢性的に長生きすることを思うと、嗚呼、遣る瀬なくなる。