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序章
人生劇的な変化なんてそうそう訪れないもので
訪れたとしても悲しい出来事ばっかだよな
高校卒業したら就職かぁ…
働きたくはないけど両親の居ない俺には
かじる脛もないわけで…
ははは…なんで生きてんだろ俺。
死にてぇわ…ほんと
つーかさ
古文の授業ってつまんないよな
何語だよ日本語じゃねぇよあんなの
ぶつくさと心の中で古文の教師に文句を言いながら、なんとも心地よい気温で眠気を我慢出来ずに腕を枕にして寝ようとしたら
ツンツン…!!
「なにしてんの…怒られるよ?」
眠たそうな顔で後ろをちらっと見ると
頬を膨らませた幼馴染の朝霧凪様が小声で注意してくれているようだ。
いい子ちゃんかよ…
「大丈夫だろ…この後昼休みだし真面目に聞いてる奴なんていねぇよ、古文なんて正直いらないしなぁ…ふぁ…イタッ!?」
「この午後の授業はどうするの?移動だよ?次」
ふわぁ…とあくびをしながら、
答えるとどうしようもないものを見る目をしながら無言で指をグリグリと押し付けてくる。
「わかったから、それやめろよ痛い」
痛みで眠気が飛んでしまった
この委員長気質がなければ可愛いんだけどな
こいつ…
『起立!…………礼!!』
凪とそんなやり取りをしていると
やっと授業が終わったようだ
号令がかかったのでやる気もないが
形だけやった感じを出す
グッ…とまた指を押し付けられた。
なんなんこいつ…
『なぁなぁ!また鬼がでたぞー!!』
にひひと指で角を作って鬼の真似をしながら
クラスの陽キャ達が騒ぎ出す
狙ってんのかあれ…
「怖いね…大和気をつけてね」
「はぁ…凪こそ気をつけろよ、一応女の子なんだから…」
耳打ちで俺に心配だと伝えてくる凪に呆れ顔で答えた。この『鬼』というのは病気のことだ。
俺たちが産まれる前からある病気の略称で
正式な名称は『鬼人病』という。
人間は誰しも欲と理性があるんだが…
この病気になると理性を失うと言われている
発症条件は未だに分かっておらず、現段階では薬で抑えるしか方法がない。
それでも抑えられなかった患者は
病気が進行すると共にさながら『鬼』のように
角が生えて体が異形化して欲を抑えられなくなり自らの欲を満たすために行動する。
そうなると人間としてではなく『鬼』として
扱われることになり最悪の場合…殺される
人として死ぬことなく獣のように化け物のように殺されるのが末路なんて最悪だ……。
「一応?ねぇ…なに?一応って?…最近…大和私に冷たいよね…なんで?なんで?」
『鬼人病』について改めて考えていたら
凪が笑いかけてくるが目が笑ってない…怖い
そーいうヤンデレみたいな反応怖いからホントやめてほしい。可愛いんだけどね?
「あー…ごめんごめん」
黒い笑顔を浮かべる凪の頭を撫でながら謝罪する。いや、ほんと可愛いね君ね。
「「「うわぁぁああ!!」」なんだ君は!」
外が騒がしい?
なんだ?とばかりにクラスのみんなが窓に近寄ると右腕が以上に発達した男と教師達が揉めているようだ……ん?男が男性教師の頭を掴んだ?
「や、やめ、やめろおおお!痛い痛いいたいいぃ….助けて!助けろぉ!助けろぉ!たすっ…」
「「「キャァーーー!!!!」」」
様子を見ていた女子たちが悲鳴をあげる。
男性教師の頭を男は握りつぶした様だ…
嘘だろ…おぇ…
凪に目をやると目を背けている。
男は次々と教師達の頭を…腕を…足をひねり潰している……いや、少しずつこっちに来ている!?
「おい!嘘だろ!?野郎こっち来てるぞ!!」
先程までふざけて遊んでいたクラスメイトが
慌てながら言うと…途端にクラス中混乱した。
教室から出ていくもの…警察や親に電話するもの…
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