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私と穂乃花はカフェに入り、
戦から帰還した武士のようにくたびれながらコーヒーを啜った。
「……なんか……疲れた……」
私が呟くと、穂乃花も疲れた顔をして頷いた。
「そうだね……それにしても私達だけほんとアウェーだったよね」
ほんとにそうだった。
7年前まで、あれだけ毎日のように一緒にいた仲間なのに。
イラストレーターを目指そうと思ったのもあの頃から。
順子は、そんな思い出深い青春時代を共に過ごしてきた。
だから年月が経っても、”イラスト部の大切な仲間”という想いは
順子も同じだと、当然のように思っていた。
でも違った。
順子にとって、イラスト部で過ごした時間も、
私と穂乃花の存在も、
この7年で、おまけぐらいの思い出になっていったのかもしれない。
「……順子にとっては、
大学時代の方が充実してたのかな……」
穂乃花は「確かに……」と寂しそうに返事をした。
「あっ、そういえば、今日スタッフの人が撮ってた写真、
アプリで見れるみたいだよー」
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