帰りたい

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穂乃花はそう言って、 テーブルの上に出したスマホの画面を指でスライドしていく。 今日の結婚式の1日の流れをアルバムで見ているみたいだった。 「へー、すごいねー」 なるほど、余韻が冷めない内にこうやって楽しめるとは。 便利になったもんだ。 と感心していると、穂乃花が驚いたように指を止めて言った。 「あ、ブーケトスの時の……!」 「ふーん……え、ブーケトス!?」 穂乃花がタップする1枚の写真。 ドアップで映る、 両手を上げて口をパカっと大きく開けた瞬間の…… ……私だ。 やってくれたじゃないかスタッフ。 私は1番想像したくないことを、穂乃花に聞いた。 「……この写真、今日来てた人、 全員見られるやつ?」 「……見られるやつだね」 穂乃花の返答で、絶望ゲージが頂点に達し、 テーブルに突っ伏した。 「終わった」 <完>
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