帰りたい

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少し離れたところに、前島くんを発見した。 前島くんも私に気付いたようで、 軽く手を上げてきたのでドキッとした。 私は小さく手を振ってみた。 「それでは、これからブーケトスを行います! みなさんどうぞ前の方へ!」 司会者が呼びかけている声がぼんやりと聞こえていた。 なんだろうさっきの感じは。 まるで内緒で社内恋愛してる恋人同士みたい! ぐふふとニヤけそうになるのを堪えた。 ふと、頭上に迫る影に気付いた。 ブーケだ! ブーケが宙を舞って私の頭上に……飛んできている!? 「えっ、えっ! あーっ!」 なんとも情けない声が出てしまった。 反射的に両手を真上に上げ、後ろにのけぞった。 だが届かない! ブーケは私の頭上を通り越して、 真後ろに落ち……なかった。 私の真後ろにいた女がブーケをキャッチしていた。 その女と目が合った。 「あ……」
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