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いきなりドッと疲れながら
披露宴会場の入り口前まで来た。
入り口前のテーブルに置かれた、
似顔絵入りのウェルカムボード。
……手書きの似顔絵……?
どこかに発注したのだろうか。
言ってくれれば描いたのに……。
なんだか嫉妬のようなモヤモヤとした気分になった。
「あ、写真だ〜」
穂乃花がそう言って指を差したのは、
ウェルカムボードの隣にある、沢山の写真が貼られたコルクボード。
写真に映っているのは、
順子以外、知らない顔ばかりだ。
「……みんな知らないね……順子の大学の友達かな?」
穂乃花が首を傾げて言った。
順子が大学で、ダンス部に入ったことはSNSで知っていた。
新郎も、そこで知り合ったらしい。
お揃いの衣装を着たグループ写真もあるから、
穂乃花の言うように、大半は順子の大学の友人なんだろう。
高校の時まで、細々とイラストを描いていた時とは違い、
そこには、弾け飛ぶ笑顔で青春を謳歌している順子が映っていた。
「あっ」
思わず指を差した。
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