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「プロポーズ受けたんだって?」
と絢世は、珠葵に言う。
「ふぇっ!あ、はい。組長になってもならなくても、一緒にいたいと」
「意外と、一途なヤツだったんだな」
「付き合う時から、彼は一途だよ。それと、ちょっと甘えん坊なところあるけど」
「クスクス。そうか」
「珠葵ー」
部屋から鷹嶺の声が聞こえる。
「呼ばれてるぞ」
「うん。お父さん…」
「ん?」
「ありがとう。私を、この世界に連れてきてくれて」
そう言って、部屋に入った。
珠葵をありがとう。
もう聞くはずの無い声に振り返る。
中庭の池に映る人影。ぼんやりと映るのは、亡くなったはずの絵美だった。
「絵美。俺とお前の娘は、強く生きてるぞ」
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