175人が本棚に入れています
本棚に追加
第1話 優等生と不良少年
全ては、あの日が始まりだった。
〝いい子〟であることを生き甲斐にしていたあの頃。その日で全て壊れた。
3年前ーーー。
中学2年の時だ。
ちょっとボロいアパートで母親と暮らしていた初原珠葵。
〝いい子〟だね。と褒められたくて何でもした。
「お母さん!」
「珠葵、おはよう。 今日、学校お休み?」
都内の総合病院で入院している母親の絵美。
女手一つで、珠葵を育てた。
「うん!」
「珠葵、ちゃんと勉強して、いい男見つけなよ」
「お母さん、またそれ?勉強は、するけど。彼氏は、出来たらでいいや」
「あははははっ!」
多分、それが遺言だ。
こんなこと、たまにしか言わないから。
嫌でも分かる。
神様、まだ、連れていかないで欲しかった。
ピーーーーー。
個室に響き渡る心停止音。
絵美は、中学生の娘を置いて空へ渡った。
末期癌を患った絵美は、余命3ヶ月と言われていた。
最初のコメントを投稿しよう!