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「珠葵ちゃん、家賃のことはいいから。ゆっくり心が落ち着くまでいなさい」
「ありがとうございます。大家さん」
ぽっかり空いた穴。
それをどうやって埋めよう。
絵美と過ごした部屋で、座り込んでしまう。
「遺品整理しないと…」
咄嗟に手にした、アルバム。
そこには、絵美と過ごした思い出の数々。
負けるな…泣くな…。
1人ってこんなにも弱いの?
ハラッと落とした写真。そこには、赤ん坊の頃の珠葵と絵美と一緒に映る男性。
生前聞かされていた。
『コイツ?あんたのお父さんよ』
唐突なカミングアウト。
『この人が!?』
『超綺麗な顔してるっしょー?今は、会うことできないけど、必ず迎えに来るって約束したからさ。私に何かあったら、そいつ頼りな』
自由過ぎる人で、うっかりなのは、日常茶飯事。
それでも、大好きな母親だった。
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