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「お母さん、ただいま」
「葵、おかえりなさい。鍵かかってなかった?」
「うん。鍵閉めないとダメだよ」
「ごめんね〜」
五條葵。和美の娘。小学5年生。
「じゃあ、帰るわ」
「もう、いいんですか?」
葵にも軽く挨拶して、玄関のドアを開ける。
「和美、何かあったら絶対言えよ!」
「うん!ありがとう」
何かあったらか…。充分助けられてるのにな。
その日の夜。
「葵、学校どうだった?」
夫 五條慎司が仕事から帰ってきて、夕食の時間。
「んー、いつもと一緒。それより、今日、お母さんのお友達が来てたよ」
ゲッ!
「ちょっと、葵…」
「珍しいな、和美に友達来るなんて」
「う、うん。たまたま、こっちに仕事で来てたみたいで…」
「なんか、お母さんの友達の割にはガラ悪かったよ」
「葵、もうやめなさい」
夫にも子どもにも、昔の話をしたことない。
ましてや、姉がいることも言ってない。両親が嫌がるから。
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