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朝になり、通勤と通学の時間。
「行ってきまーす」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
いつもの朝、いつもの時間。
「和美、帰る時連絡するから」
「ありがとう。こっちは、大丈夫だから。しっかりやってきて!」
気丈に振る舞う妻の笑顔が眩しい。
「行ってきます」
マンションを出て、少し歩くと娘の葵が立っていた。
「葵、どうしたんだ?」
「あ…あ…」
目の前にいるのは、スーツを着た3人の男たち。
「おはようございます。突然、すみません」
「誰だ、あんたたち!」
「和美さんのご主人ですね。奥さんは、お元気ですか?」
「おい、なんで妻を知っている」
「それは、奥さんに聞いてください。それとお伝えしてください。お姉さんは、どこだ?とね。あなた方には、手出ししませんよ。それじゃあ」
そう言って、立ち去った。
慎司は、嫌な予感がした。
姉?和美に姉なんて、いたのか?
「ふぅ、ふぅ、ふぅ…」
「葵、今日、学校休むか?」
「ううん…行く」
「無理するな。お父さんも、お母さんのこと心配だから。休むよ。1日ぐらい」
「お父さん…大丈夫、学校行く…」
「今日は、学校を休もう。帰るぞ」
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