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あれから、1週間が経つ。
予定が全く合わず、会うことができない。
家で、デザインの仕事をしていた和美。
仕事と共に考えるのは姉のこと。
ピンポーン
インターホンのチャイムが鳴る。
最近、護身用ナイフを持ち歩いている。
恐る恐る見ると、初老の女性が立っていた。
「お母さん?」
「和美、ごめんね。仕事中だった?」
初原満代。和美の母親。
「一段落したところ。お父さん、一緒じゃないの?」
「お父さんも自分から言えばいいものを…」
「とりあえず、上がって」
玄関の鍵を閉めて、お茶の用意をした。
なんだろう?
「あのね、和美」
「ん?」
「絵美…お姉ちゃんと連絡取ってる?」
何、今更…。
「ううん。全然」
「そう。お父さんね。貴女をヤクザの家に嫁がせようとしたことを後悔しているの。今は、いいけど。あのまま何も知らないで貴女をあそこに入れたらどうなっていたんだろうって…絵美を勘当したことに後悔は、してない。だけど、自分の子どもをちゃんと信じてやれなかったことは後悔してるって…だから、もう一回会いたいなって…」
「なにそれ…都合良すぎない?」
「ええ、都合良すぎるわよね」
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