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「桐生社長…うーん、佑香と結婚するから撮影以外では桐生さん?尊さん?」 「佑香も桐生さんになりますよ」 「じゃあ、尊さん?それじゃ佑香と同じか…弟だから尊くん?」 「年上ですが弟ですね…何でもいいです。で、何ですか?」  美香はもう一度グラスに口をつけると美味しそうにコクンと喉を鳴らした。そして 「いいや、やっぱり世良さんに聞くから…世良さんはどうしてオダミカのファンなんですか?」  隣の世良さんをちらっと見た。世良さんは迷わず 「若さや日本独特の文化‘可愛い’にこだわった感じが最高です。応援がやめられません」  と、先日と同じように答える。 「なるほど…じゃあ今日はそういうオダミカが見たかったんじゃないの?」 「いえ、直接会えるなら素の美香さんの方がいいです」 「素の私に興味があるってこと?」 「もちろんです…あっ初対面でお恥ずかしいですがもちろん…興味があります」 「それって…もし…もうモデルを辞めると言っても?」 「そうですね。モデルは単に職業なので辞めることがあっても驚きませんね。どんな風にすごい努力をしてきた人だろうとか、どんなガッツのある人だろうと興味津々です」  世良さんはグラスを空にすると 「美香さん、もう少しお話させて頂けますか?」  少しずれたメガネを上げながら聞く。 「いいわよ。佑香たちも一緒に食事する?」 「ううん、帰るよ。お姉ちゃん、世良さんと二人で大丈夫?」 「あははっ…私、もういい歳なんだけど…大丈夫に決まってるでしょ」
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