7年目の告白

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翌日になっても振られたショックから立ち直ることはできなかった。 「幸人ぉ・・・」 目の前は“元”カレになってしまった幸人との思い出の品で溢れている。 7年分が詰まった思い出は多くて重い。 整理しようと思ったが、見ては泣きの繰り返しだった。 ―――やっぱり捨てられない・・・。 ―――まだ気持ちに整理がついていないんだもん。 いっそのこと目を瞑って全て捨ててしまえば楽だったのかもしれない。 だが一度全てを眺めてしまうともう無理だ。 旅行の時に買ったガラス細工も、投げて壊してしまおうかと思ったができなかった。 その時友人から着信が鳴る。 「電話・・・。 あまり出たい気分じゃないけど・・・」 友人には昨日のうちに幸人が浮気をして振られたことを伝えてある。 出る気分ではなかったが、心配してかけてくれているだろうため無下にはできなかった。 「もしもしぃ ・・・?」 『結花! アンタ大丈夫?』 「大丈夫じゃ、ない・・・」 そう言うと友人は大袈裟に溜め息をついた。 『やっぱりそうだよねぇ。 7年付き合っていた彼氏が浮気って酷過ぎるよ! 私が幸人くんに何か言ってあげようか?』 何か文句の一つでも言ってやりたい、それは昨夜から何度も考えたがあまりにも自分が惨めに思えてできない。 それは友人を通してでも同じだ。  「・・・いや、大丈夫・・・」 『大丈夫じゃないでしょ!』 「浮気されたということは、私に何か不満があったっていうことだもん・・・」 『不満は何もないって言われたんじゃなかった?』 「言われたけど、あれは私を気遣っての嘘だよ・・・」 『ふぅん・・・。 それで、結花は今何をしているの?』 「思い出の品を整理しようと思って・・・」 『思い出の品? もしかして全て捨てる気?』 そう言われもう一度目の前にある思い出の品たちを眺めてみる。 そして首を横に振った。 「そう思っていたんだけど、いざ目の前にするとできないよぉ・・・」 『まぁ、そうだよねぇ・・・。 まだ捨てなくてもいいんじゃない? 少し気分が晴れてからでもさ』 「うん・・・。 そうする」 『ねぇ結花、今出てこれる?』 「え?」 『気分転換に、一緒にパーっと遊びにいこうよ』 結花としてはパーッと遊ぶ気分でも、そんな気力も本当はない。  だがこのまま引きこもっていると余計にネガティブなことを考えてしまい、衝動的な行動に出てしまいそうだったためその言葉に乗ることにした。 幸いというべきか、昨夜から着替えてもいない。  身だしなみを整える気にもなれず、そのまま家を出て待ち合わせ場所へと向かった。 「目、赤ッ!」 会って早々、目を見て驚かれた。 「冷やさずにそのまま出てきちゃった・・・」 「それ程辛かったんだもんね。 どうする? 慰めてあげようか? それともパーっと遊びたい?」 「・・・遊びたい」 「じゃあ決まり!」  誰かと一緒にいるというだけで、こんなにも心強いとは思わなかった。 普段通りとはいかないが、カラオケへ行き大声を出して発散した。 付き合ってくれる友人に素直に感謝し、そうして遊び始めてから夜になった。 「今日はありがとう。 大分気持ちが楽になった」 「そう、よかった。 何かあったら言うんだよ?」 そろそろ解散しようかと話し合っているとスマートフォンが鳴る。 「・・・幸人からだ」 「幸人くんから?」 あまり使うことのないメールの受信の合図がスマートフォンの画面の下部で光っていた。 「内容は?」 「見る勇気がない・・・」 「でも私がここにいる間に見た方がよくない?」 「確かに・・・」 そう言われ意を決してメールを開いた。 “21時。 昨日の場所で” 簡潔にそう書かれているだけだった。
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