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結花がメールを見て固まっているのを友人も不思議に思ったようだ。
「何だって?」
「・・・」
結花は黙って唇を震わせていた。 友人は自ら覗き込むようにスマートフォンを見て驚いた顔を見せる。
「うわぁ。 急に何だろう?」
「嫌だよ、私行きたくない! 嫌な予感しかしないもん!」
「嫌な予感って? 心当たりでもあるの?」
「例えば、今まで全額奢ってきた分を返せとか!」
「えー? 幸人くんはそういうことをする人には見えないけどなぁ」
確かに考えてみてそんなことを言うとは思えない。 もしそうなら結婚願望を持つ程に好きにはなっていなかっただろう。 だが単純に改めて別れ話という可能性はある。
昨日の今日でポジティブな出来事が待っているとは思えなかった。
「どうしよう・・・。 無視していいかなぁ」
「行ってみたら?」
友人は少し考えた素振りを見せそう言った。
「どうして?」
「何か言い残したことがあるかもしれないじゃん。 それか、よりを戻そうとかそういう前向きな言葉かも!」
「昨日別れて一日でよりを戻そうっていう人いる・・・?」
そう言うと友人は真剣な表情で向き合った。
「今日で幸人くんと話せるのは最後かもしれないんだよ? 後悔はしちゃ駄目」
「・・・」
「大丈夫。 私も近くまで付いていくから」
そう言われ一緒に付いてきてもらった。
「・・・怖い」
「大丈夫。 もし幸人くんが変なことを言うようなら、私が出るから」
「うん・・・」
「ここからは一人で行きな」
見送られながら昨日振られた場所へと向かった。 相変わらず夜の公園は人がおらず物寂しい。 だが今日は後ろから友人が見守ってくれているという安心感がある。
―――どうしてよりによってここなの・・・。
今日は元カレである幸人が先に来ていた。 夜のため水が溜まっているだけの噴水の前に正装を身に纏った幸人がいる。
―――何その服装?
―――それに・・・。
隣というわけではないが、近くに先日幸人と一緒に手を繋いでいた女の子もいた。 思わず軽く睨み付けてしまう。
―――それに浮気相手も連れて!
―――私の心を更に粉々にする気!?
―――本当、信じらんないッ!
悪い考えがぐるぐると巡り回る。 そんな中幸人は片膝を立て小さな箱を掲げてみせた。
「・・・え?」
そこにはキラリと輝く小さな指輪が入っていた。
「特別な日も何もない日も、ずっと結花さんといたいんです。 もう彼氏彼女の関係は終わりにして、僕と家族になってくれませんか?」
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