episode 1

1/1
前へ
/164ページ
次へ

episode 1

いつものように目が覚めた。カーテンの隙間から、朝の光が一筋差し込んでいる。 スマホのアラームは鳴っていないから、まだ朝食を摂る時間ではないはず。 「あふ」 眠い。 (……二度寝しよ、) 学校はあるが、二度寝を決め込んで、目を閉じる。と、すぐに睡魔に襲われた。うつらうつらと夢の中へというところで、身体に異変を感じて、神経がピリッと冴えた。 「っ⁉︎」 そういえば私、いつベッドに入ったっけ? 私は慌てて目を開け、飛び起きた。右手で跳ねのけた布団が、そのまま宙を飛んでいった。舞った布団は軽く天井に当たり、そのまま床にバフっと落ちた。 布団が描いたそんな大げさな軌跡を見て、私は脱力&確信。 またやってしまった(・・・・・・・)と。 ベッドから足を下ろし、床に落ちた布団に足を取られながらも、スタスタと軽快な足取りで自室を横切っていく。 あのこと(・・・・)があった日は、いつもこうだ。筋肉ムキムキではないのに力持ちになる。それどころか、身体が勢いよく動き過ぎてしまう。 ドアノブに手を掛けぐっと押すと、メキメキと嫌な音をさせて、ドアがはずれた。 「え」
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加