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「申し訳ございません、只今ご用意できるお部屋はダブルのみとなっております」 もしかして、今日の星座占い最下位だったのかな。そう思うくらい、立て続けに悪いことが起こっていた。 あれから何件かホテルをハシゴしたけれど、雪の影響でどのホテルも満室で、やっと見つかったと思えばダブルのみ。 まだ12月初旬だというのに、まさかこんな事になるなんて思わなかった。もうホテルは諦めて下道で帰るしかないのだろうか。 ───そう思った時だった。 「じゃあその部屋でお願いします」 加賀の口から放たれた言葉に、唖然とした。 「えっ、加賀…?」 「仕方ないだろ。他にないんだから」 抑揚のない声で、淡々と言葉を紡ぐ加賀。動揺を隠せない私とは反対に、やっぱりこの男は平然としている。 こういうの、漫画やドラマで見たことがあるけれど、まさか現実に起こるとは思わなかった。 その部屋に泊まるということは、加賀と同じベッドで寝るってこと?いや、無理でしょ。そんなの眠れるわけがない。 と言っても、この短期間で恐らく2回も寝顔を見られているけれど。こんな急に、何の心の準備も出来ていない状態で一緒の部屋に泊まれるわけがなかった。これならまだ、車中泊の方が気が楽だ。 「か、加賀、やっぱこれは、私の心臓が…」 「俺はネカフェでも探すから安心して。明日の朝迎えにくる」 「え?!」 無意識に大きな声が出ていた。慌てて口を手で覆う私を見て、加賀は「え、なに?」と、きょとんとしている。 「そ、それは駄目でしょ。加賀は今日一日運転して疲れてるんだから。だったら私がネカフェに…」 「いや、俺がそれを許すと思う?」 「…で、でも、それこそ雪が降ってるのに移動するなんて危ないし、私だけふかふかの布団で寝るのは気が引けて…」 さすがに申し訳なくて、色々と理由を並べて説得してみる。そうすれば、無表情で私を見下ろしていた加賀が、微かに口角を上げながら口を開いた。 「だったら、俺も一緒に寝ていい?」
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