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聞き方が狡い。“一緒に寝る”って、ちょっと破廉恥じゃないですか。その言葉に加え、私を見下ろす視線と口元のホクロが色気を爆発させていて、思わず言葉に詰まってしまう。 けれどここは、もう頷くしかなくて。 「…い、一緒に、泊まろ?」 一緒に寝よう、とは言えなかったけれど、今にも消え入りそうな声でそう言えば、加賀は私が断るとでも思っていたのか、一瞬驚いたような表情を見せた後、口を噤み無言のまま固まってしまった。 「やむを得ないというか、これが一番お互い納得出来ると思うし、もしネカフェが見つからなかった時に悲惨だし…それに私、寝相も悪くないはずだから」 緊張からか無駄にペラペラと喋ってしまう私に、加賀はふっと吹き出すように笑う。 そしてボソッと「寝相が悪くないのは知ってる」なんて呟くから、一気に顔が熱くなった。 加賀が破顔する瞬間を見るだけでも心臓に悪いのに、私を知り尽くしたような今の台詞は卑怯だ。返す言葉が見つからず、思わず固まってしまう。 けれど、そんな私を余所に加賀はフロントスタッフから鍵を受け取ると、先にエレベーターの方へ向かって歩き出す。 慌ててその背中を追いかけながら、加賀と同じ部屋に向かっているというこの現実に頭がパンクしそうだった。
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