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「え、あの彼氏と別れたの?」 「うん、別れた。振られた。6年も付き合ったのに、呆気なかった」 華の金曜日、午後7時。会社近くのダイニングバーで、リアルゴールドを煽りながら親友でもあり職場の先輩でもあるナナちゃんに昨日の出来事を話す。 「6年…きっつ。理由は何?納得出来る内容だった?」 「………彼氏…が、出来たんだって」 「…………へぇ」 「顔がニヤついてるよ」 「いや、決してBLを想像して萌えたとかではないよ。心配してる」 もっと驚いてくれるかと思ったけれど、腐女子のナナちゃんは驚くどころか妄想を膨らまして楽しんでいるのが顔で分かる。普段クールなくせに、BLの話になると食いついてくるとこ、嫌いじゃないよ。嫌いじゃないけど… 「結婚…するはずだったんだけどな…」 女々しくて、あまり頼りない人だったけれど、そんな彼が「そろそろ結婚を考えようか」と言い出したのが、半年ほど前。 それからというもの、私は今まで以上に料理を勉強し、裁縫にも力を入れるため、ワイシャツのボタンを取っては付けてを何十回も繰り返した。 それなのに、こんなに呆気なく終わってしまうものなのだろうか。私達にとっての6年は、かなり薄っぺらいものだったんだなぁと思うと、思わず深い溜息が出る。
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