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「えっ…」
またまた不意打ちで落とされた爆弾に、危うくメモ帳を落とすところだった。
昨日から加賀は、やたらと彰のことを質問してくる。人が変わったかのように予想外の言葉を放つ。しかもそれをしれっと言うから謎だ。
本当にこの人は何を考えているんだろう。加賀の心の中を覗けたらいいのにと、こんなに強く思ったことはない。
まぁ、そんなに深い意味はなさそうだけど。
「真面目で…女々しい人だった」
どう答えるのが正解なのか分からないまま、正直に言葉を紡ぐ私に、加賀は静かに耳を傾ける。
「年上だけど、あまり年上っぽくなくて。でも誠実そうな人で、浮気とは無縁なイメージだったんだけど…」
「……」
「私は6年間、彼の何を見てたんだろうね。こないだの出来事で、彰がどんな人なのか分かんなくなっちゃった」
彰を思い浮かべながら、ぽつぽつと言葉を紡ぐ。最後に「でも、基本的には優しい人だったかな」と付け加えると、ずっと黙って聞いていた加賀から「ふうん」と軽い相槌が返ってきた。
自分から質問しておいて、ふうんとは何だ。と、怪訝に思いつつも、もしかすると私の緊張をほぐすために話しかけてくれたのかもしれないと思うと、言い返す事も出来ず。
加賀もそれっきり口を開かなくなったから、この話は終わったのかと思い、再びメモ帳に視線を移した。
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