忍び寄る影

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 ユウがそう提案した途端に、犬がヒステリーを起したかのようにワンワンと大きな声で吠えた。  ペット同伴可といえ、これはさすがに気不味い。 「――勿体ないですがプレートはそのままにして、早く行きましょう」  席を立ったユウに続き、聖も嘆息しながら腰を上げる。 「そうだな……会計をするか」  慌てて、真壁は追い縋る。 (ま、待ってください! 吠えたのは謝ります!! 大人しくメシを食いますから、このままオレと一緒に休日を満喫しましょう!) 「キュウゥ~ン、クウゥゥ~ン」  全身で感情を表現したところ、さすがに聖には通じたようだ。 「待て、ユウ」 「どうしました?」 「どうやら、ワン公は吠えた事を謝っているようだ。大人しく飯も食い始めたし……別に体調が悪いという事はなさそうだぞ」 「本当ですか?」  見遣ると、健康そのものの様子で、バクバクとプレートに盛られた肉を必死に食っている犬がいた。この様子に、ユウは一つの答えを導き出す。 「その犬、もしかして聖さんと一緒に居たいんじゃないですかね? で、オレが邪魔だと」 「そんなバカな――」 (大当たりです!) 「ワン、ワンッ」  尻尾をふりふりしながら見上げる犬の仕草に、ユウは嘆息する。 「分かったよ。お邪魔虫は消えるよ」 (ありがとうございますっ💗) 「ワンッ💗」  ムカつくが、こうも素直に反応されては仕方がないと言った様子で、ユウは苦笑しながら聖に視線を転じた。 「じゃあ、後は犬とごゆっくりどうぞ」 「ユ、ユウ……」
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