イタリアの夜は突然に

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 嘘ではなく、こうやって解放空間に居ること自体が嬉しいし楽しい。島が置かれていた状況を知っていれば、そういうこともあるだろうと納得するはずだ。 「そうですか。本場のエスプレッソはガツンと来ますね」 「ああ、本物は素晴らしいぞ」  各地でそう呟いてきた、今回もまたその言葉が真実であることを強調している。ペロっと平らげると胃を落ち着けてから外に出る、何処でも良いのでホテルを目指すようにして歩いた。何せ石造りの家が多い。  コロッセオなどもう二千年も前の建築物が残っていたりする。地震が少ないので何せ長持ちする、しかも地震規模が小さくマグニチュードは五前後が多い。日本では七から八あたりが頻発している。両者の差は大きい。  マグニチュード五は火薬に換算すると千トンほどのエネルギーだ、震源が浅ければ死人だって出る。一方で七は五十万トンクラスで、八になれば千五百万トンと乗数に比例する計算になる。東北で起きた地震は五億トンクラスで、世界の歴史でも最高峰の大記録だ。  そんなこともあってか、イタリアでは一度家を建てたら子子孫孫まで暮らせるので、住居費は安いと言える。ただしそれは一戸建てを建築して長く保持した場合の話で、マンションに住むならば七百ユーロ、ざっと十万円弱は必要だろう。 「まあこうなるのは解っていたが、ここはローマ市街地で今は真っ昼間だよな?」  やれやれと腰に手を当てて少しばかり先の通りを見詰める。 「前に港の子供が言っていましたよ、こういうのが主人公補正ってやつでしょう。そちらで伏せて下さい」
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