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細く開いた窓から優しい陽射しが射し込み,柔らかいカーテンが微かに揺れると,時間の止まってしまったこの部屋のなかを心地よい風がゆっくりと通り過ぎ,微かに時を進めた。
八畳ほどの和室だった部屋は,床が補強され,防水仕様に改築されていた。壁には子どもの落書きのような絵がいくつも飾られ,小さな勉強机や可愛らしい花柄の箪笥の上にはぬいぐるみが所狭しと置かれていた。
部屋の中央では,無機質な小さなモニタの中で規則正しく表示されるいくつもの数字が点滅し,カラフルな複数の線が波打つように左から右へと流れていた。
「かな子,窓を閉めようか。今日はこれから暑くなるみたいだし」
そう言って父親が静かに窓を閉めると,静まり返った部屋のなかをベンチレータの小さな換気音とともに規則正しい機械音が響き渡った。
澄み切った空気はどこか重く,規則正しい機械音がゆっくりと得体の知れない重みを増していくようだった。
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