【1】

1/2
前へ
/11ページ
次へ

【1】

「PureWorldねえ……」  休日の昼下がり。ショッピングセンターを一人ぶらついていた大野浩介は、カフェで一休みしながら端末をいじっていた。  周囲の人間がこぞって絶賛しているこのアプリに、ついに登録することにしたのだ。  スタイリッシュな登録画面を開くと、名前と生年月日、職業、趣味、その他簡単な質問に答えていく。空欄が埋まっていくにつれて、アプリの中に「こうすけ」という人格が出来上がっていく。  最後に聞かれたのは「解像度」だった。このアプリの大きな特徴の一つで、自分や相手の姿を写真ではなくイラストで表現するのだ。自分の写真を載せる必要はない。写真をもとにイラストに加工したものがポートレートとして表示されるのだ。そのイラストは、コミック調、パステル、水彩、油絵、素描風、など、好みの絵柄を選択することができる。いくつかフィルターを試したが、しっくり来たのは水彩調の爽やかな絵柄だった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加