おめでとうございます。

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おめでとうございます。

こんにちは。ご立派なお宅にお住まいですね。素敵です。 わたくし、     の者なのですが。今少々お時間よろしいでしょうか。大丈夫。無理な勧誘や悪質な脅し文句などは一切行わないとお約束致します。 はい。ありがとうございます。飽くまでもお話だけをするつもりです。入信の必要は全くございません。ただ、せめてわたくし達の思想と目的を知っておいて欲しいという、それだけでございます。 ええと、    さまは、どちらの宗派で? なるほど。あまり気になさらない方なのですね。いえ、結構です。昨今はそのような方が殆どでございますから。 さて、早速本題に入らせて頂きますが、  さまは、死後の世界についてどの程度のご理解がありますでしょうか?  あはは。難しいですよね。 答えは宇宙にあるのです。わたくし達     は、人は肉体が滅んだ後、意識だけの存在となり、全宇宙を司る膨大な意識の塊の中へ溶け込むと考えています。いや、考えているというのはおかしいでしょうか。だって真実ですもの。ああ、今ちょっと引きましたね? この宇宙を作り出しているのは、膨大な意識そのものなのです。それはもう途方のないものです。 その証拠に、宇宙は常に膨張し続けていますでしょう? あれは、死人が増え続けるからなのです。死人の数だけ宇宙が膨張する。 死が、何のために存在するのか。あなたは考えたことがごさいますか? もう答えは簡単でしょう。 死後、人の魂は肉体から抜け出し、意識だけが宇宙へと旅立ちます。そしてひとつになって、宇宙空間を押し広げる存在になるのです。 どうしてそんなことする必要があるのかって? 破裂ですよ。膨張し続けるものは、いずれ破裂する。その時に、新たなる世界の扉が開くのです。しかしそれはいつなのか…… わたくし達は、もう少しだとふんでおります。あと数人の意識が集まれば、新たな世界が顔を出す。 おめでとうございます。 本当におめでとうございます。あなたは選ばれました。 おめでとうございます。
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