12人が本棚に入れています
本棚に追加
真後ろの女子。岸 美音。小学校からの幼馴染にして、高2の今に至るまでずーっと同じクラスメイトの、ザ・腐れ縁オブ腐れ縁である。
「ぷぷぷ、景太寝てんなよ〜。よ、よだれ鷄〜。り、リラックスピロー〜」
「背中ペンすな!シャツ穴開いたぞこれ」
「あれ?起こしてあげたのに逆ギレですかぁ?せんせぇこのひと全然反省してな……」
「だー!ありがとうございました!」
美音は僕など到底敵わない秀才だ。隣県の名門も狙えたのに、僕の志望校(ここも進学校だが)に合わせてきやがった。理由を聞いたら泳いだ目で、こっちなら家から通えるからとは言ってたけど。
僕の扱いは一貫して酷いが、美音は小中高と一貫してアイドルだ。友達の森によると、
「岸さんこそ本校一の美女にして2年B組の至宝!貴様は憐憫の情でお付き合い頂いている尊さに甘えて数々の非礼を!許すまじ!」
……だそうだ。仲が良くて下の名前を呼び捨てしてると妬まれ、目の敵にされる理不尽。
まあ学校一は盛りすぎでも、美音は可愛い方だとは思う。明るい性格で女子にも人気で、「大乗美音教」なる支持団体が存在するほどだ。森とかな。
だから陰キャの僕が釣り合わないのは認めよう。でも日頃ベッタリくっついてくるのは美音の方なんだぞ。腕や背中に抱きついてくるたび、僕は彼氏と誤解されて面倒な目に遭う仕組みなんだからな。
最初のコメントを投稿しよう!