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「……お仕置きって、僕、何か悪いことしたっけ?」
テオが僕の身体を押し倒す。あっという間にくちびるを塞がれた。貪るように口の中をかき回され、頭の芯がじんとする。
テオがくちびるを離し、低い声で囁く。
「パリの中心で愛を叫んだ」
「何それ。ぜんぜん悪くないじゃん」
「悪くないけど、悪い」
テオの舌が、僕の耳の奥に入り込もうとする。身体がぞわぞわとし、我慢できずおかしな声が口から漏れた。
「あんなところで叫ばないで。ああいうのは、俺とふたりきりのときだけに言って」
僕を見つめるテオの視線が、突然オスっぽくてぞくりとする。
「いま言って、ミカ」
耳元に囁かれて、身体の芯がじわりと熱を帯びる。はるか遠くに忘れていた、懐かしい熱の気配。
「……テオが好き。大好き」
テオの大きな手のひらが、乱暴に僕の肌を撫で回す。首筋に顔を埋め、僕の肌に強く吸いつく。
ああ、また、おかしな声が口から漏れた。
「ミカ、身体が熱いね。感じてるときは熱くなるんだ。新しい発見」
恥ずかしい。こんなの僕だって知らなかった。もう二度と身体に熱なんて感じないと思っていたのに、テオに触れられたとたん、こんなに簡単に呼び戻せるなんて。
「……ミカは、俺がはじめて?」
コクコクと頭を縦に振る。
恥ずかしくてテオの目を見れない。抱かれたいと思うのに、正直、何をどうすればいいのかよく知らない。
「じゃあぜんぶ教える。でも俺も男同士ははじめてだから、痛かったら言って」
コクコクと頷く。
もう上手く声も出せない。はじめての感情に胸がいっぱいで、じわりと目に涙がにじむ。テオはふっと笑い、僕の頬に、ちゅっと音を立ててキスをした。
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