モスキートーン

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大人は子供を子供だと馬鹿にする。それは年齢的な意味ではなく、体の大きさでもなく、ただ、未熟者という意味で。ただ、大人は知らない。子供こそ、大きな力を持っているということを。 戦争や人種差別、人身売買や貧困に悩むことのなくなった夢のような世界。人々は平等の中に暮らせるだろう。そんな生活を得るためには、世界各国の政府に、統一の価値であるお金の撤廃を提案した。最初の5年は混乱が起きるだろう。それもそうだ。みんなが持っていたはずの共通の物差しがなくなったのだから。それに伴って、新しい法律を作る。 『労働の強制』『法の厳格化』『人々の自由は法の中のみの保証』 最たるものは、『個人はなくなり集団の一部である』ということ。 お金という概念がなくなり、仕事をする意味がなくなった。だから、『労働の強制』が必要になる。 共通の物差しがなくなったことで、個人の価値観を主張しないために強制的に縛るための集団の価値観として『法の厳格化』。 自由を得たいのなら、集団の価値観である法を守らせるための『人々の自由は法の中のみの保証』 差別を生まないために、あくまで個人という考え、価値観を撤廃するための『個人はなくなり集団の一部である』ということ。 でも、これはあくまで子供である僕の想像。 ここまでしないと、今の世界的な目標の達成は無理だろう。人間は醜い生き物。自制心があるからこそ、欲の肥大化を抑えられない。お腹が空いている時に少しだけ食べると、もっと欲しくなる原理と一緒。歯止めがあるからこそ、それが効かなくなる。それが大人になれば尚更。自分で、自由を得るための権利を買うことができるから。時間と体力を犠牲にして。犠牲にしているからこそタチが悪い。自分の権利を主張し始めるんだ。いかに自分が偉大であるかを、紙切れを靡かせて。そんな世界は嫌だ。そう僕は願ってしまった。
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