コバルトブルー

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引っ込み思案の私。 電車の中で小さな鳥のぬいぐるみを拾ってしまった。 これ、どうしよう…。 固まったまま電車に揺られていると、 「それ、拾ってくれたの?」 後ろから声がした。 振り返ると同じ高校の制服を着た背の高い黒髪の男の子が立っていた。 「それ、僕ので、落として焦ってたから良かったぁ。ありがとう。」 ニコッと笑った。 その笑顔にドキッとした。 「いえいえ、私なんかが拾ってすみません。」 どうしたらいいか分からなくて、鳥のぬいぐるみを渡して頭を下げた。 「いや、頭を下げるのはこっちだよ。…何かお礼させて?」 その言葉に驚いて頭をあげてジーッと顔を見てしまった。 「ん?お礼と言っても、こんなことしか出来ないけど………。」 そう言うと手を掴まれて、電車のドアが開くと同時に手を引っ張られた。 「え?」 そのまま駅のホームを歩く。 その間も掴まれた手にドキドキする。 着いた場所は、駅のホームの隅っこにある自動販売機だった。 やっと手が離れると 「何を飲む?」 手を繋いでたことを気にしてないみたいに私を見る。 「買い食いは学校で禁止になって」 言い終わる前に 「真面目ちゃん。」 そう言いながら笑う。 また心臓がドキッとした。 「じゃあ、どうする?食べ物じゃないことでお礼させてよ。」 顔を覗き見るから、恥ずかしくなって 「…お礼はいいです。気持ちだけで。」 と、俯いてしまった。 「…そう?それじゃあ、名前だけ教えて。同じ高校だし、いつも同じ電車に乗ってるし。僕は白石桃馬(しらいしとうま)。」 「私は暁(あかつき)みどりです。」 「じゃあ、みどりちゃんだね。これからよろしくね。」 よろしくってどういう意味だろうと考えていたら 「僕のことは桃馬って呼んで。」 ニコッと笑った。 「あの…私1年なので、呼び捨てなんて出来ません!」 「うん、知ってる。」 「え?」 驚いて目を見開いた。 「電車で見かけてたから。ストーカーじゃないよ。」 慌てたように両手を前に出して手を振った。 「そうだったんですか…。」 「そう。誤解がとけて良かったぁ。」 フゥーと息をついた。 その慌てた顔がおかしくて我慢できずに笑ってしまった。 「あ、笑った。そういう顔をしてればいいのに。」 「え?」 「いつも不機嫌そうに見えてたから。笑ったら、可愛いよ。」 異性に可愛いなんて言われたことがなくて、恥ずかしくて俯いた。 「笑ってたらいいのに。自信持ちなよ。」 「そう言ってくれる人、白石先輩だけです。」 「なんでそう思うの?」 不思議そうな顔をして私の顔を覗き込んだ。 その顔にドキッとする。 「遅刻しちゃうので、失礼します!」
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