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部屋の入り口で工場夜景を見ていると、宇宙にたった一人取り残されたような気分になった。
でも顔をなめる大きなそよ風は、ここが宇宙でもなく、僕が一人でもないことを知らせてくれるようだ。そのような風は何かが始まる合図のような、励ましのようだが、そのことに僕は気づかない。気づいても意味がないとでも言うように。
学校のことについて考えてみる。僕にとっての学校についてである。きっと僕にとっての学校と、一般的客観的な学校のイメージとでは違ったものになるだろう。あるいは僕にとっての学校と僕以外にとっての学校という概念はそれほど変わらないのかもしれない。大小あれどそれほど変わらない苦悩を背負って学校概念が構築されているのかもしれない。どちらにせよ僕にとっての学校の認知的視点を変化させるわけではない。
卒業まであと半年以上あるけれど、僕はそれまで通い続けるのだろうか?卒業証書をもらうのだろうか?卒業証書授与式のときには名前を呼ばれ、返事をしなければならない。僕はそれまで学校ではひと言もしゃべらないとすればその返事は全校生徒に聞かれるわけだし、それはやはり多大な抵抗感をもたらすだろう。
たとえば、返事を録音してそれを呼ばれたときに流すというのはどうだろう?さもそこで返事をしたと思わせるために、家で大声で、機械音だと悟られないように録音する。自分の近くにいる生徒にはもしかしたらばれるかもしれないが、口パクでなんとか誤魔化したい。けれど本当にそれが上手くいくかどうか不安になって考えるのを辞めた。
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